鮮やかな黄金色の婚姻色に変化したアイナメは、北海道の磯でもっともフォトジェニックな被写体のひとつである。

それ故地方名が数多くあり、あぶらこもその一つで、北海道でしか通用しない呼び名である。

 さて、あぶらこ、つまりアイナメは、口の先から尾の先まで全長が60センチ近くにまで育つ大物で、成魚になると北海道の地方名に冠された“油”が程よくのってしとやかな味わいの身質になる。

その上、世界中の海でここにしかいない、卵を完成させる途中で父親の遺伝子を捨てて母親の遺伝子だけを子孫に伝える、半クローン現れてするあぶらこの雑種も混ざり、複雑怪奇なあぶらこワールドが道南の磯に広がっている。

その頃合のアイナメは、イワシやサンマのような腹側が銀白色、背側が青緑色をしている。

今週の「道南おさかな図鑑」で解説する魚は、姿よし出合えてうれしい「あぶらこ(油子)」である。

1年で20センチ、2年で30センチくらいに達するが、その後の向上は個体差がある。

数カ月に及ぶ回遊暮らしは、その後は磯に定住するアイナメにとって、生まれた箇所から遠く離れた位置に泳ぎ着くチャンスになる。

稚魚の体が背景の青い海に溶け込む防護色となる。

雌が産んだいくつもの卵塊を防護しているアイナメのなわばり雄を浅いロケーションでも造作なくに見つけられるようになった。

 雌雄ともに2年で成熟するが、雄はおとなのアイナメとして認められるまでには、さらに2年以上必要になる。

というのは、アイナメの雄は、繁殖なわばりを確保し、卵をふ化まで保護するという繁殖習性を持つが、ふ化までの約1カ月間、卵をねらう敵から守りきる力がない小型の雄は、雌に相手にされないからである。

書店に並ぶ一般的な図鑑では、アイナメとして登場する魚だ。

 強い雄に維持されてふ化した仔(し)魚は、海面に向かって泳ぎだし表層を回遊する暮らしを開始する。

自身が産卵した卵を託す相手が強い雄でなければ子孫を残せないと雌は決断するのだろう。

 温暖化が進んできたためだろうか、アイナメの生息域が全道に空間、道南では着実に増加している。

地色が茶系の不規則な暗色斑紋を持つ成魚とは著しく異なる姿で、魚通を自認する学生たちも初めて目にした時はたいていブリやサバと間違える。

50センチを超えるには最短でも5年以上を要し、それより小さい大きさで進化が停滞する個体も多々ある。

 そもそも、この魚は全国に広く分布し、各地方で地魚(じざかな)として地産地消されてきた。

でも、魚を写真に撮るだけのフィッシュウオッチャーには教えてあげようかな。

どこにいろいろいるのかって? 釣り人には内緒。

しかも、「はごとこ(浜男)」と呼んでいる、クジメ、スジアイナメ、エゾアイナメなど、よく似た近縁種も道南にはたくさん生息している。

 しかし本種がたまにしか見られない日高や道東では、あぶら事言えば近縁種のウサギアイナメを指すので、ややこしい。